就職活動をすると耳にタコができるほど聞く言葉。
「コミュニケーション能力」
企業は求人票に「コミュニケーション能力が高い人求む!!」と盛んに書き立てる。
ところで、コミュニケーション能力とは何だろう。
そこで、個人的にコミュニケーション能力が高いと感じた知人の話しをする。
以前勤めていた会社に2人の先輩(以下、XとY)がいた。
XとYは同い年で勤続年数や社内の立場もそれほど相違がなかった。
僕はX、Yと同じ現場に勤め、双方によくしてもらっていた。
そこに、Zという厄介な後輩がいた。トラブルメーカーで多くの社員から煙たがれていた。
ただ、ZはYには敬意を示し、Xを目の敵にしていた。
他の後輩もXをあまり好意的に思っていなかったようだ。反面、Yの悪い噂は聞いたことがなかった。
どこで差が付いたのであろうか。
本人の性格もあるだろうが、最も顕著だったのはコミュニケーションの範囲であった。
Yはいろいろな社員と意思疎通を図っていた。
関わる機会の少ない人、一匹狼の人、一回りも二回りも年齢が離れている人、誰とでもフレンドリーに接していた。
年上の同僚にタメ口になることもあったが、生意気というわけではなく、むしろ心理的距離が近いことを意味していた。
一方、Xは派閥を作るのを好んだ。後輩を食事に誘い、手懐けていった。
仲間内には面倒見の良い先輩だったが、外では態度が一変した。かなり高圧的だったとZから聞いている。
仲間に入れるか否かの基準は不明だが、とにかく派閥外での評価が芳しくなかったと記憶している。
つまり、Yは現場全体にコミュニケーションを発信したのに対し、Xのコミュニケーションは限定的であった。
自分が王様になれる空間を作り出し、そこで気前の良い王様を演じていたにすぎない。
裸の王様であることはとっくのとうに見破られていた。
コミュニケーション能力とは誰とでも仲良くなれることを意味するのかもしれない。
それは社会人として必要不可欠なスキルであるのは言うまでもない。