日本の人口は2010年を機に減少の一途を辿っている。
地方は特に顕著であり、今後、東京一極集中化は避けられない事態となっている。
では、東京の真北にある埼玉はどうか。
埼玉県全体と各市町村の2010年と2015年4月の人口を比較し、人口増加率を算出してみた。
なお、資料は平成22年度 総務省統計局 国勢調査、及び埼玉県公式ホームページに依った。
まず、埼玉県全体ではここ5年の人口増加率は0.67%とわずかながら人口は増加している。
続いて各市町村である。左図に人口増加率により色分けした埼玉県地図を用意した。
増加率上位3市町村は、戸田市(7.54%)、吉川市(6.19%)、ふじみ野市(5.04%)という若干意外な顔ぶれとなった。とは言え、3市とも住宅開発が盛んであり、都心へのアクセスが良好であるという点で、妥当であると言える。吉川市は2012年3月に吉川美南駅が開業し、交通の便が良くなったのも大きいだろう。
ふじみ野市も含め、全体的に東武東上線沿線は人口増加率が高かった。東京メトロ有楽町線・副都心線・東京東横線と直通運転を行っているのもあるが、2008年に速達性の高い優等列車であるTJライナーの運行が開始されたのが大きいのではないか。都心から比較的離れているにもかかわらず大健闘した滑川町(4.50%)の存在が不気味だが、町内に森林公園という始発駅があるからだと考えられる。やはり、電車に座って通勤・通学したいものである。
一方、増加率下位3市町村は、東秩父村(-9.98%)、小鹿野町(-8.82%)、ときがわ町(-7.60%)といずれも都心から離れており、交通の便が悪い地域である。10地域区分における、利根・北部・秩父地域は人口減少が著しい。
東武東上線とよく比較される西武線沿線は増加率が芳しくない。所沢市(0.14%)はなんとか微増に留まったものの、狭山市や飯能市、リバ邸入間のある入間市はいずれも人口が減少している。西武池袋線は東上線同様、池袋駅まで一本で、東京メトロ有楽町線・副都心線・東急東横線と直通運転を行っており、西武新宿線は高田馬場・新宿へ一本であり、決して交通の便は悪くはないはずだが。地元民として頑張って欲しいものである。
今回分かったのは、やはり都心へのアクセスが人口増加に直結してくるということである。また、県全体としては増加しているものの、減少している地域の方が多く、南東部と北西部で二極分化している傾向が顕著である。
今年3月14日、上野東京ラインが開通し、都内へのアクセスがより向上した。今後、同線と直通運転を行う宇都宮線・高崎線沿線地域が人口増加の恩恵を受けるのではないかと考えられる。上尾市、桶川市、北本市、蓮田市などの巻き返しに期待したい。
コメント